サルビアの花、ってあまーい2006年11月13日 12時46分44秒

【薬食審指定薬物部会】違法ドラッグに33物質指定薬事日報社さま)からのtb。

改正薬事法において薬物乱用防止が明文化されたことを受け、違法ドラッグ、いわゆる脱法ドラッグだと思いますが、その成分として33の物質が指定されました。
tb先記事に、一覧がありますのでそちらもご覧ください。

亜硝酸誘導体、ニトロアルカン類でしょうか。これらは揮発性があるでしょうから、吸入するタイプですね。亜硝酸イソアミルは狭心症患者にも処方されているかと。
体内においてEDRF(NO:一酸化窒素)を遊離して血管拡張を促しますので、狭心症にも適応があるわけですが、その作用機序が奇しくもドラッグとしても利用されているわけですね。
亜硝酸エステルは急激に吸えばショックを起こしますし、メトヘモグロビン血症リスクもある。また発がんリスクも否定できないのでは?と思います。
用法用量を明確にしていれば問題ないと思いますが、乱用したときにはその限りではないでしょう。

語尾に「T」がつくもの・・・トルエン?
まあ、トルエン自体が結構問題が多いですので、その誘導体も規制対象にはなるでしょう。


2006.11.18 訂正
「T」はトリプタミンの略で、指定薬物はトリプタミン誘導体でした。訂正いたします。
脱法ドラッグにはトリプタミン誘導体が多いみたいですね。
そういえばLSDやらもインドール骨格を持つし、SAR的にどうなのかは分かりませんが、インドール骨格を持つ化合物は生理活性が強いものがやはり多いようですね。



そんな中、ひとつ気になるのが「サルビア」。

サルビアといえば学校の花壇で育てられる花としてポピュラーで、花を千切って吸うと甘い蜜が味わえるために乱獲されて荒れ放題になる花ナンバー1なわけですよ。
そんなお花が規制対象・・・?
かと思ったら、普段私達が目にする観賞用のサルビアは「Salvia splendens」。
一方規制対象となっているサルビアは「Salvia divinorum」。
同じ”サルビア”種であっても、別物のようです。ほっ。

植物にも有害な成分を含むものはたくさんあります。
あまり楽しい印象ではありませんが、彼岸花は毒がありますし、ケシを観賞用と間違えて育ててしまったと言うことも昔はあったみたいです(ヒナゲシは大丈夫です)。
安易に植物を口にしてしまうのはやはりそれ相応の危険性を伴う行為であったと思うと、小学校の時のサルビア乱獲も色んな意味でほめられたものではないですね。反省。



薬事法にも薬物乱用防止が明文化され、今度さらに規制体制は整っていくと思います。
使用する側も、医薬品に限らず化学物質という点から、十分に注意して使う必要がありますね。
特に合成系の仕事の場合、無数の化合物を扱いますが、せめてカタログの法規制の項目に目を通すぐらいはした方が良さそうです。学生だとあんまりしないですけどね・・・
MSDSに目を通すとさらに吉。

ODなんて論外です。これも取締りの対象にすべきではないかと思いますよ。

コメント

_ Shiva ― 2006年11月18日 14時03分45秒

語尾にTが付くものはトリプタミン誘導体です。

_ @DRK ― 2006年11月18日 22時07分32秒

Shivaさま初めまして。ご指摘ありがとうございます。

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_ 薬のことなら薬事日報ウェブサイト - 2006年11月13日 17時21分01秒


 薬事・食品衛生審議会の指定薬物部会が9日に初会合を開き、厚生労働大臣から諮問を受けた亜硝酸イソブチルなど33物質(表)について、中枢神経系興奮等の作用を有する蓋然性が高く、保健衛生上の危害が発生する恐れのある薬物として、指定することが適当との結論に至った。これを受け厚労省は、薬事分科会報告などの手続きを経た上で年度内に省令を公布、来年4月1日から施行する。



 違法ドラッグは、麻薬類似の有害性が疑われるにもかかわらず、インターネットやアダルトショップ等で販売され、現実に数多くの健康被害が報告されているもの。しかし今までの薬事法では、薬事法上の医薬品に当たることを先に立証した上で、無承認無許可医薬品として規制していたため、人体への摂取を目的としない医薬品以外の物品として擬装されるなど、実効ある取り締まりが困難になりつつある。

 こうした状況を踏まえ、6月に公布された改正薬事法では、幻覚等を有する一定の物質を厚生労働大臣が指定し、流通面で規制をかけることにした。指定薬物となった物質は、医療・産業用など一定の用途に供する場合を除いて製造・輸入・販売等が禁止される。さらに、疑いがある物品に対しても、行政は検査命令を出すことができ、命令を受けた者は、検査中はその物品の製造、輸入、販売等ができなくなる。違反者に対する罰則も強化される。

 改正薬事法では、指定薬物の指定について薬食審の意見を聴くとされていることから、9月の薬事分科会で指定薬物部会の設置が決められ、この日に初会合を開いたもの。

 厚労相が部会に諮問したのは33物質。その中には通称「ラッシュ」と呼ばれ、健康被害も問題となっている「亜硝酸イソブチル」などの成分も含まれており、部会は指定薬物への指定が適当と判断した。同省は近くパブリックコメントを求めるほか、WTOへの通報、12月に開かれる薬事分科会へ報告など、所定の手続きを行い省令を公布する。