市中型MRSAへの感染2007年04月02日 14時06分41秒

「市中型」MRSA感染で1歳児死亡、国内で初の確認
(by 読売新聞さま)

医療施設内ではなく日常生活の場で感染する「市中型」のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染した関東地方の1歳男児が昨年、肺炎で死亡していたことが2日分かった。

 市中型MRSAは、健康な子どもや若者に感染することが多く、欧米で問題になっているが、国内で確認された死亡例は初めてという。
MRSAというと、昔はイコール「院内感染」と連想しましたが、病院外でも感染しうるというのはちょっと怖いです。
黄色ブドウ球菌だから、コンタミされた飲食物の経口摂取か、どっか触った手で口も触ったとか、かな?
幼少期で抵抗力が低かったからこそ重篤な症状を呈した、とも言えるので、むやみやたらに騒ぎ立てる事は無いようにしたいです。ただ欧米では若者にへの感染もあるとのこと。若者が何歳ぐらいなのかが分かりませんが・・・社会問題化していると。
いずれにせよ外での感染というのは、初めて聞きました。感染経路が気になります。

インフルエンザも流行っている時期ですし、手からの感染も気をつけたほうがよさそうです。
衛生観念も行き過ぎは考え物ですが、適度な注意はするに越した事は無いですね。

【緊急安全性情報】タミフル服用後の異常行動について2007年03月21日 10時17分22秒

とうとう、いや、ようやくと言った感が否めないが。

【緊急安全性情報】タミフル服用後の異常行動について(3/20付)
(by 医薬品医療機器情報提供さま)

3/20付の中外製薬と厚生労働省からのドクターレターを参照してください。PDFですがそんなに重くないです。また内容についても専門知識が無くてもある程度は分かるようなものです。

インフルエンザ及び関連する諸症状の特効薬的な扱われ方をしてきたタミフルですが、服用後の異常行動による死亡例が若年層に頻発しているとの報告が相次いでいました。
厚生労働省は注意喚起はしたものの、因果関係については否定的な立場を取っていました。
しかし3/20、原則として10代患者への投与を差し控えるように通達しました。

タミフルについては 以前触れています。当時は情報が少なく私の論調もいささか乱暴なものであり、それについては反省しています。
本筋としては今も変わりませんが。



タミフル服用後の異常行動については、インフルエンザ脳症と類似した症状のようです。
そのため厚生労働省ではタミフル服用との因果関係については否定的な立場を取っています。
この対応については各地で批判が相次いでいます。
私個人の見解としては、好意的に解釈するならば、 タミフル服用と異常行動の相関を示すエビデンスが無い、と言う事だと思います。
確かにタミフル服用後に異常行動を示す確率が、経験則的には高くなっているけれども、エビデンスが無いので安易に関連があるとは断定できない、と。
(少し調べただけではエビデンスを示す情報は見当たりませんでした)
明確に因果関係を決定する事は困難である事は予想できます。もちろん非科学的な印象だけで因果関係を決定する事は好ましくありません。
しかし。
経験的でも恐れがあるのならば即座に対応するだけのフットワークはあっても良かったのでは、と思います。
対応が遅いお役所仕事、と批判されてしまうのは致し方ないのかもしれません。
今後の対応は俊敏かつ確実にお願いしたいものです。

それにしてもタミフル服用後の異常行動については、よく分からない点が多いです。なぜ起こるか?
勝手な予想ですが・・・緑字の所は予想というか想像なので、話半分でお願いします。

1.ウイルス残存
タミフルの作用機序はノイラミニダーゼ阻害によるインフルエンザウイルスの出芽阻害であってウイルスを破壊するものではなく、感染細胞には大量のウイルスが残存している。
インフルエンザウイルスは気道上皮細胞に感染した後増殖する。症状を呈するという事はある程度の増殖があり、気道上皮細胞から他の部位へのウイルス移動が起こっているかもしれない。万が一脳や神経に強く影響を与える細胞でウイルスの閉じ込めが起こった場合、その細胞でウイルス濃度が高まるため、脳や神経に対する影響が通常より強く出て異常行動を引き起こす。
つまりタミフルのウイルス閉じ込めによってインフルエンザ脳症が普段よりも強く出てしまうのか?と言う予想です。タミフルの作用機序に原因があるかもしれない、という考え方ですね。

2.byproduct
タミフル主成分のリン酸オセルタミビル製造時の 不純物 微量不純物。或いは光学異性体。オセルタミビルはキラル中心が3つあります。
。それがインフルエンザ脳症を増幅してしまう可能性。
しかしタミフル服用患者の全員が異常行動を起こしているわけでもないので説得力が無いですね。

そもそも、なんで日本人、特に10代の患者にこうも頻発するのか。
人種差は遺伝子型の違いでいろいろ言えますが、年代の方は分からないですね。第二次性徴の時期だけインフルエンザ脳症が出やすいのかそれともタミフルの代謝に違いが出るのか・・・この辺は相当大規模な調査が必要になるでしょうね。
タミフルを大量に使う予定がある日本ですから、この因果関係は明らかにしなければなりません。



さて。
こうも異常行動が取りざたされているタミフルですので、どうしても服用しなければならない場合には、慎重にも増して慎重にならざるを得ませんが・・・
以前「目を離すな」という趣旨を書いたのですが、どうもそれだけだと不十分に思えてきました。

異常行動を起こす可能性が高いのは10代患者であると言う事です。
10代、主に中高生です。体は大人、頭脳は子供という時期ですので、体力的には結構高まっています。
特にスポーツとかで体を鍛えていたりすると大変です。
異常行動を起こしたときに、誰が止められる?という話になってきます。

そう考えると、自宅での静養がそもそも無理がある、と考えてしまいます。
そう。
このような事態になってしまった以上。

タミフル投与は原則として入院患者に限る

とした方が良いのではないでしょうか。
厚生労働省は原則中止との通達でしたが、 禁忌ではない模様。 2006/8/31付の添付文書においては「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある者」とあり、前例のある患者は禁忌となっています。
この時点では年齢限定での投与制限ではないです。また3/20の厚生労働省の通達でも、禁忌となるかどうかは分かりません。「原則」中止です。
注意深く推移を見守ります。
場合によっては投与もあり得る、と言う事です。
確かに関連が疑わしい諸症状があるものの、以前症状緩和の観点では有効な医薬品である事に変わりはありませんからね。
しかしいくら十分に注意しても、家族の手ではどうにもならない事も予想できます。
(そこまで含めてきちんと考えて欲しいとも思いますが)

私が考える最善策は入院です。
お金は掛かりますが、インフルエンザはそんな悠長に構えていられるほど軽い病気では無いでしょう。

問題はその受け入れ先が十分であるかどうか、になりますが、これは不十分です。
ショートステイとはいえ一度に来られたら病院も対応できません。
ただし。
逆に考えると、新しいビジネスチャンスではあります。
つまり、インフルエンザに特化したショートステイ施設の確保、異常行動にも対応できる訓練を積んだ屈強な看護師、特別病棟扱いにして差額ベッド代で稼ぐと言う方法論です。
不謹慎かもしれませんが、そういった施設があるとないとでは違いも大きいでしょう。
長期入院だと莫大な費用が掛かりますが、ショートステイならば何とか捻出できるぐらいの料金設定にすれば、需要は見込めるのではないかと。
まあそういった下準備は、未だ見ぬパンデミックへの対応策として必要だと言う事です。



タミフルと異常行動の相関については、今後の調査結果を見据えていきましょう。
決してパニックになってはいけません。

そして、実は一番重要なのですが。

インフルエンザにならない事

これに尽きます。
日ごろからの体力増進、またシーズンには感染予防のうがい・手洗い・湿度の確保・マスクなど。
個人で出来る事はたくさんあります。
病気にならないことが一番ですので、常日頃から注意して下さい。そうすれば結果的に異常行動による被害者が出ないようになりますから。

カプセル内視鏡による小腸画像診断2007年03月13日 13時26分47秒

【薬食審部会】カプセル内視鏡承認へ‐Taxusステントも薬事日報さま)へtb。

K2でもカプセル型カメラの話は出てきましたが、とうとう本格的に始動ですね。
このシステム、カプセルの大きさは不明ですが、飲み込んでしまえばあとはカプセル内のカメラで消化管内を撮影、画像データは無線で飛ばして収集。 あとは自然に出るのを待つだけ。
負担はかなり少ないですね。

消化管内の検査といえば内視鏡ですが、これに比べるとカプセルを飲んでしまえば自由に動けるところは大変便利です。
反面、カプセルだと病変部位を発見してもその場で処置できないと言う欠点もありますので、そこは内視鏡に軍配が上がります。
適材適所だと思いますが、このような技術によって検査可能箇所が増える事は素晴らしい事だと思います。

リハビリ日数制限、一先ずは緩和だがまだ不十分2007年03月13日 13時10分03秒

リハビリ日数制限の基準緩和へ 厚労省 (by 産経新聞さま)

医療保険が適用されるリハビリテーションに最大180日の日数制限が設けられている問題で、厚生労働省は12日、これまで長期リハビリが必要としていた51病種以外でも、医師が回復の見込みがあると判断したケースなどについて制限を超えて保険適用で利用できるよう制度を見直すことを決めた。厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問し、4月から基準緩和に踏み切る予定だ。
ようやく自分のしたことの過ちに気がついたか。
だがリハビリ休止期間の遅れを取り戻す時間もさらに掛かり、結局はそれこそ"無駄な医療費"が掛かる。
その事に気づくのにずいぶん時間が掛かったんじゃないか?

ともあれ、一先ずは前進したことは喜ぶべきだと思う。
もっともこれはあくまでスタート以前。発進以前にマシンのセットアップでミスった分を修復している段階。
ここから全廃を目指さないと。

リハビリは運動器の機能回復だけじゃなく、メンタルな部分にも影響が大きい。
それを打ち切ってしまうと精神衛生上にも問題が生じる。結果ますます体調は悪くなり、そこに新しい医療費が発生する。
という事も十分考えられる。
医療費をなんとか削減しようとする気持ちは分かるのだが、もう少しちゃんと考えないと結果は出ない。それこそ目先の金だけ考えていたのでは、むしろマイナス。

資金繰りのロジックだけを見て、人の心と言うものを見誤った結果がこれだ。
これは一種の医療事故だ。
到底認めるとは思っていないが、関係各所は不用意に患者の不安をあおった事を謝罪してもよいのではないか?

看護師か看護婦か看護士か2007年03月09日 22時53分43秒

日テレの例の議事国会番組で男女性差の議論がありましたが。
そこで気になったのは、職業名における男女差の撤廃と言う事で、呼称が変わったもの。
スチュワーデスはフライトアテンダント。
女房役は補佐役。
まあその辺の呼称が変わろうが本質は変わらないし解決もしませんが。

ちょっと気になったのが、

看護婦から看護師へ

と。
確かに「婦」は女性のみを表す感じですから、それを変えることは男女差別の撤廃と言う説明でも納得は出来そうですが。
私が大学で教わった時には、あまりそういう事は重要ではなかった気がします。

旧来では、男性については「看護士」です。
「士」と言うのは武士の士かもしれませんが、保育士という言葉があるように、男性のみを表す言葉では無い、と思います。
ゆえに、「婦」の文字を変えるならば「士」でもよかったはず。
しかし使ったのは「師」であり、それが極めて重要な意味を持つ
と言う事には触れられませんでした。
まあ番組の趣旨とは違うから・・・と思うのですが、呼称変更の意味を過小評価してほしくないな、とは思います。

関連すると、 コメディカル 医療三師とか四師とかも同じで、わざわざ使う必要があるのかいな、と。
もちろん法的根拠で確かありましたけど、医療従事者にはすべからく守秘義務も発生すべきだと思いますが・・・してたっけ?
って言葉はあまり好きじゃありません。
co-medical。
しかし医療における各職能は決してco-じゃないと思うのですけどね。
言葉の上であれこれ理屈をこねる事に意味は無いかもしれませんが、潜在的な上下関係が気になってしまいます。