【緊急安全性情報】タミフル服用後の異常行動について2007年03月21日 10時17分22秒

とうとう、いや、ようやくと言った感が否めないが。

【緊急安全性情報】タミフル服用後の異常行動について(3/20付)
(by 医薬品医療機器情報提供さま)

3/20付の中外製薬と厚生労働省からのドクターレターを参照してください。PDFですがそんなに重くないです。また内容についても専門知識が無くてもある程度は分かるようなものです。

インフルエンザ及び関連する諸症状の特効薬的な扱われ方をしてきたタミフルですが、服用後の異常行動による死亡例が若年層に頻発しているとの報告が相次いでいました。
厚生労働省は注意喚起はしたものの、因果関係については否定的な立場を取っていました。
しかし3/20、原則として10代患者への投与を差し控えるように通達しました。

タミフルについては 以前触れています。当時は情報が少なく私の論調もいささか乱暴なものであり、それについては反省しています。
本筋としては今も変わりませんが。



タミフル服用後の異常行動については、インフルエンザ脳症と類似した症状のようです。
そのため厚生労働省ではタミフル服用との因果関係については否定的な立場を取っています。
この対応については各地で批判が相次いでいます。
私個人の見解としては、好意的に解釈するならば、 タミフル服用と異常行動の相関を示すエビデンスが無い、と言う事だと思います。
確かにタミフル服用後に異常行動を示す確率が、経験則的には高くなっているけれども、エビデンスが無いので安易に関連があるとは断定できない、と。
(少し調べただけではエビデンスを示す情報は見当たりませんでした)
明確に因果関係を決定する事は困難である事は予想できます。もちろん非科学的な印象だけで因果関係を決定する事は好ましくありません。
しかし。
経験的でも恐れがあるのならば即座に対応するだけのフットワークはあっても良かったのでは、と思います。
対応が遅いお役所仕事、と批判されてしまうのは致し方ないのかもしれません。
今後の対応は俊敏かつ確実にお願いしたいものです。

それにしてもタミフル服用後の異常行動については、よく分からない点が多いです。なぜ起こるか?
勝手な予想ですが・・・緑字の所は予想というか想像なので、話半分でお願いします。

1.ウイルス残存
タミフルの作用機序はノイラミニダーゼ阻害によるインフルエンザウイルスの出芽阻害であってウイルスを破壊するものではなく、感染細胞には大量のウイルスが残存している。
インフルエンザウイルスは気道上皮細胞に感染した後増殖する。症状を呈するという事はある程度の増殖があり、気道上皮細胞から他の部位へのウイルス移動が起こっているかもしれない。万が一脳や神経に強く影響を与える細胞でウイルスの閉じ込めが起こった場合、その細胞でウイルス濃度が高まるため、脳や神経に対する影響が通常より強く出て異常行動を引き起こす。
つまりタミフルのウイルス閉じ込めによってインフルエンザ脳症が普段よりも強く出てしまうのか?と言う予想です。タミフルの作用機序に原因があるかもしれない、という考え方ですね。

2.byproduct
タミフル主成分のリン酸オセルタミビル製造時の 不純物 微量不純物。或いは光学異性体。オセルタミビルはキラル中心が3つあります。
。それがインフルエンザ脳症を増幅してしまう可能性。
しかしタミフル服用患者の全員が異常行動を起こしているわけでもないので説得力が無いですね。

そもそも、なんで日本人、特に10代の患者にこうも頻発するのか。
人種差は遺伝子型の違いでいろいろ言えますが、年代の方は分からないですね。第二次性徴の時期だけインフルエンザ脳症が出やすいのかそれともタミフルの代謝に違いが出るのか・・・この辺は相当大規模な調査が必要になるでしょうね。
タミフルを大量に使う予定がある日本ですから、この因果関係は明らかにしなければなりません。



さて。
こうも異常行動が取りざたされているタミフルですので、どうしても服用しなければならない場合には、慎重にも増して慎重にならざるを得ませんが・・・
以前「目を離すな」という趣旨を書いたのですが、どうもそれだけだと不十分に思えてきました。

異常行動を起こす可能性が高いのは10代患者であると言う事です。
10代、主に中高生です。体は大人、頭脳は子供という時期ですので、体力的には結構高まっています。
特にスポーツとかで体を鍛えていたりすると大変です。
異常行動を起こしたときに、誰が止められる?という話になってきます。

そう考えると、自宅での静養がそもそも無理がある、と考えてしまいます。
そう。
このような事態になってしまった以上。

タミフル投与は原則として入院患者に限る

とした方が良いのではないでしょうか。
厚生労働省は原則中止との通達でしたが、 禁忌ではない模様。 2006/8/31付の添付文書においては「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある者」とあり、前例のある患者は禁忌となっています。
この時点では年齢限定での投与制限ではないです。また3/20の厚生労働省の通達でも、禁忌となるかどうかは分かりません。「原則」中止です。
注意深く推移を見守ります。
場合によっては投与もあり得る、と言う事です。
確かに関連が疑わしい諸症状があるものの、以前症状緩和の観点では有効な医薬品である事に変わりはありませんからね。
しかしいくら十分に注意しても、家族の手ではどうにもならない事も予想できます。
(そこまで含めてきちんと考えて欲しいとも思いますが)

私が考える最善策は入院です。
お金は掛かりますが、インフルエンザはそんな悠長に構えていられるほど軽い病気では無いでしょう。

問題はその受け入れ先が十分であるかどうか、になりますが、これは不十分です。
ショートステイとはいえ一度に来られたら病院も対応できません。
ただし。
逆に考えると、新しいビジネスチャンスではあります。
つまり、インフルエンザに特化したショートステイ施設の確保、異常行動にも対応できる訓練を積んだ屈強な看護師、特別病棟扱いにして差額ベッド代で稼ぐと言う方法論です。
不謹慎かもしれませんが、そういった施設があるとないとでは違いも大きいでしょう。
長期入院だと莫大な費用が掛かりますが、ショートステイならば何とか捻出できるぐらいの料金設定にすれば、需要は見込めるのではないかと。
まあそういった下準備は、未だ見ぬパンデミックへの対応策として必要だと言う事です。



タミフルと異常行動の相関については、今後の調査結果を見据えていきましょう。
決してパニックになってはいけません。

そして、実は一番重要なのですが。

インフルエンザにならない事

これに尽きます。
日ごろからの体力増進、またシーズンには感染予防のうがい・手洗い・湿度の確保・マスクなど。
個人で出来る事はたくさんあります。
病気にならないことが一番ですので、常日頃から注意して下さい。そうすれば結果的に異常行動による被害者が出ないようになりますから。