改”変”道交法2006年06月01日 17時27分01秒

白黒ツートンの車が路駐してるんですけどー?

と言ったらきちんと取り締まってくれるんだろうか。
今日から駐車違反の取締りが民間委託にもなったのですが、各地でシステムのトラブルが相次いで案の定な出だしだった。

今回の改正道路交通法は、大きく6点。

1.自動二輪車の高速道路2人乗り規制緩和
2.運転中の携帯電話使用の罰則強化
3.飲酒運転罰則強化
4.暴走族取締り強化
5.中型免許新設
6.駐車違反取り締まり強化

アメとムチ。タンデム規制緩和以外はムチだが。

さて、今回の路駐規制強化で一番割を食ったのはロジスティックス業界に介護タクシーだ。
ニュースで見た限りだと、監視員が目をつけた車はそれ以上詮索せずにナンバー撮影の上キップを貼られる。
それまでは、いわゆるチョークでの取り締まりだったのだが、ワンクッション置かずにいきなりキップを切る事になる。
しかし、いきなり無差別にキップを切ると言うのは、そもそも駐車と停車の定義からしていささか乱暴ではないだろうか。
駐停車禁止区間なら是非取り締まって欲しいけど。

今回の道交法改正のうち、路駐の取締りに関しては、何をしたいのかよくわからん。
”違反金をもっと集めたい”のか”路駐を減らしたい”のか。
金目当てだとしたらそれは諦めた方がいい。この方式では間違いなく赤字になる。
民間委託ということはそこに委託料が発生する。
警察の収入となる駐車違反金については規制強化をすれば次第に収入は減る。しかし委託料と言うのは恐らく契約上の問題だから、固定額だろう。まさか委託会社の歩合制なんて事はないだろうし。
取り締まれば取り締まるほど収入は減る。
じゃあ路駐を減らしたいのか。それは目的そのものなので疑う余地はない。
が、駐車できないと言う事は駐車場を探す車が溢れ、駐車場に並ぶ車の列が出来る。つまり路駐を取り締まるがゆえにトラフィックは見かけ上増大するだろう。
路駐は減っても渋滞は増える。
そもそも駐車乗数は上限があるし、バイク駐車場の問題もある。
「公共機関をご利用ください」と言う事をセットで宣伝すればいいのだろうが、残念ながらそういう姿勢ではないようだ。
どーにもやることがちぐはぐである。

とはいえ、路駐が多いのは困った事であるし、これからまた例外規定が省令や規則で整備されるだろう、というかしてくれ。
今回の交通監視員がいい意味で抑止力になればよいかとは思う。
みんなで交通マナーを守れば路駐も減って警察が赤字になる。がんばろー。

BLOOD2006年06月05日 13時32分27秒

ディーヴァ×小夜
とある宗教団体では、とある教義により、輸血を禁じている。
このことは社会的にも問題になり、今なおその宗教団体もろとも論争の種になっている。
本blogでは、とある宗教団体に対するむやみやたらな批判は行うつもりは無いが、係争のトピックである輸血については触れざるを得ない。



まず、とある宗教団体が引き起こした輸血拒否問題について。

宗教上の理由により、”輸血と言う医療行為”を一切拒否している。
このため医療行為において輸血が出来ず、それが原因かどうかは不明であるが患者が死亡するケースがあった。
これが当人だけならともかく、その子供にまで教義を押し付けてしまったがために、人権問題ともなっている。

とある宗教によれば、血は命であり、他の血を飲食したり体に取り入れることはよろしくないとしている。
そのため血抜きしてない肉を食べる事はダメで、輸血に関しては全血・赤血球・白血球・血小板・血漿はアウトらしい。
しかし、免疫グロブリンや血友病治療のための血液製剤は個人で判断すべし、自己輸血については血液保存はアウトだが手術中の血液回収はまあ良し、血液透析や人工心肺はOK。
ざっと考えると、血液由来において2段階以上分画操作を行えばギリギリセーフ、自己血は空気に触れないかオペ中にすぐ回収するならいいらしい。難しい・・・
血の滴るステーキはアウト。魚は活け締めに限る。食通か!(タカトシ風に)。

この辺については、教義を否定するつもりは毛頭ありません。宗教と食事は仏教においても大いに関連するところだし。
そして重要なのが、輸血だけを拒否するのであって医療行為そのものは拒否していない、と言う事。

彼らとて命は惜しい、しかし輸血だけは避けたい、何とかならんか、と言うのが本音だろう。



こと輸血については、宗教上だけではなく医学上も問題が多い
とある宗教のオフィシャルでも輸血の危険性について延々述べられている。教義の正当性を主張するためのプロパガンダとも感じられるが、嘘は言っていないので問題はない。

血液に関して大問題となったのは、記憶から薄れてしまいそうだが被害者は今も苦しみ続けている薬害エイズ問題だ。
これは血液製剤という形態ではあるが、血液由来である点は輸血と同じだ。
そして、血液を体内に入れるということは、抗原抗体反応異物の脅威に晒される事は間違いない。
血液には赤血球の抗原タイプが種々あり、それらが適合しないと溶血、凝固など致命的な症状が起こる。
また、血液ドナーの感染症や、採血時のコンタミによって病原菌が血液に混入する事もある。それが元で薬害エイズ事件は起こったし、渡辺謙氏がC型肝炎ウィルスに感染してしまった。
人間の血液というのは、いってみれば個人情報で、それを他の人と混ぜると言う事はやはり異質な事をしている。

確かに輸血と言う医療行為は、それなりにハイリスクである。
それは、抗原抗体反応がクロスマッチテストでどこまで回避できるか、ドナー健康状態由来の病原菌コンタミをどこまで回避できるか、科学において100%と言う言葉は使ってはならないものの、未だに高度な信頼性が担保されていないからだ。
例えばHIVは感染後3ヶ月程度経過しなければ抗体が出来ないので1次試験であるPA法(ゼラチン粒子凝集反応)やEIA法(酵素免疫測定法)では陰性となるし、HIV本体の検出法であるウエスタンブロット法において陰性となったとしても、感染力が無いとは結論付けられない。また仮に輸血血液が安全であったとしても、現場の人間による取り違えなどで間違った血液が輸血される可能性というのも、残念ながら否定できない。

つまり、出来れば輸血はしないに越した事は無い
あくまで緊急時で他の手段が無いケースに限り適応されるべきであるとは思うし、その点だけは賛成する。



とある宗教が輸血を拒否する以上は、仕方が無いから代替医療を考える。
幸いな事に、医学の進歩は輸血をしなくても済むような方法を見出している。

輸血が必要な場合はどういう場合か。
それはもちろん血液が大量に失われた時である。
この場合、血球成分喪失による酸素運搬能力の低下よりも何よりも、循環体液量低下による低血圧ショックが真っ先に考えられる。
そのため、取り合えず血液量を手っ取り早く増やすために、水分(生理食塩水やリンゲル液など)補給を行う。
血球成分は失われたままなので、簡単に言うと血液を水増するのだが、取りあえずはこれで良し。
健常人のヘモグロビン量はそこそこ余裕があるので、少しなら平気だろう(3倍希釈ぐらいが限度か?)。

慢性的に血が足らないと言う人には、造血剤を用いる。
腎臓から分泌されるタンパク質のエリスロポエチンが必要になるが、これは遺伝子組み換え技術でも生産され、医薬品として用いられている。
・・・輸血はダメでも遺伝子組み換えはOKなようだ。
また酸素運搬能力を肩代わりする医薬品も開発されてきているようで、なんとか輸血しないでも乗り切れるようにはなってきている。
もちろんこうした試みを実践するにはソフトハード両面の投資が必要であるが、それも患者のQOL向上のためだと思えば否定する理由は無いだろう。



このように、輸血については絶対的に必要なものではなく、代替方法が無い事は無い、といった感じだ。
通常の医療については、医療チームと患者がよく話し合った上で、ベストに最も近い方法を模索できる。

しかし、緊急時にはこのような事を言っていられなくなる。

交通事故、急激な出血を伴う疾病など、速やかに血液量を確保しなければならないケースはあるだろう。
そうしたときの対処こそが、問題になっている。
とある宗教においてはその辺の準備も抜かりは無く、「医療行為についての注意」を記載したカードを携帯しているので、意識が無くても輸血を拒否できる、と言うことだ。
カード方式はかなり有用なので、これは宗教問わずオススメしたい。緊急時にはかなり役に立つ。過去の疾病履歴や薬暦管理の重要ポイントは、身を守る上でも大切だからだ。
ここまで気を使っているのだから、仮に輸血をしなかったがために死亡したとしても、本人は満足なのだろう(これについては否定する権利も無いだろうが)。
また医療チームにおいても、輸血をしなかった事について法的責任を問われる事も無くなる。



医療の側から見れば、釈然としないだろうが。



係争の問題において、”本人”だけならば既に法的にもクリア出来ている。
問題なのは、子供と保護者の関係である。

子供が事故や病気で輸血がどうしても必要になった場合。
とある宗教の敬虔な信者である愛ある親は、宗教上の理由から子供の輸血を”保護者として”拒否し、結果子供が死亡した。
このケースかどうかは分からないが、とある宗教は子供の保護者による判断を容認している。
この点はいささか疑問である。

個人的な見解を言わせてもらうならば、宗教は個人的な思想であるべきだ
つまり、多種多様な宗教において信仰するのは自分自身である。他の人に言われてする事じゃないしそうあってはならない
自身の信仰心を高めて自己啓発するも良し、信念の赴くままに奉仕行動をするも良しである。個人の責任において
そういう信者が形成するコミュニティは、排他的かもしれないが受け入れられるだろう(教義がまともなら)。

信仰を他人(親兄弟親類縁者含む)に押し付けたりするから問題が生じる。

幸い日本と言う国は、信仰の自由が保障されている。つまり、信じるも信じないも”個人の”自由である。
それを強制するのはどうかしている。無理矢理に布教したり、信仰をやめたものに対して批判するべきではない。
ましてや宗教としての活動が公共の福祉に反するなど絶対あってはならない
この問題は種々の宗教が抱える問題であるが、是非とも円満な解決を望む。
我々は信仰の自由を保障された日本人なのだから。



宗教上の理由による輸血拒否と言うのは、実に根が深い。
医療チームとしては患者の要望を出来るだけ聞いてあげたいと思っている。むやみやたらに自分の理想を押し付ける事など無いし許されない。
・・・しかし、本当は医学的にベストを尽くして絶対に患者を救う、そうも考えている。
宗教家が信仰するのと同じぐらい強い想いで、患者を救いたいと思っている。
そう信じるし、そうあるべきだ。

何がしかの理由で輸血を拒否すると言う人。
そういう方はまず事故や病気に合わないように常日頃から厳重に注意なさってください。
そうすればそもそも輸血が必要な場面を減らせて、みんな円満です。
それでも不安なら高地トレーニングで赤血球を増やしておいてください。



以上、輸血問題について触れてみました。
多少言葉が荒っぽいところはご容赦ください。出来る限り歩み寄って考えて理解しようと努力しています故。

また、すべてのとある宗教の人が輸血を拒否するかと言うとそうでもないかも知れません。
「どーぞどーぞ輸血してくれちゃっていいですよ。命あってのモノダネじゃーん?」
という割と柔軟な人もいるでしょう(てゆーか実際いるw)。



最後に、K2で私の医療観を見事に代弁してくれた名セリフがあるので、アレンジして載せておきます。



命より重い思想など、俺は認めん!!!


日本人レーサー、英国の公道に没す2006年06月07日 20時48分28秒

英マン島TTレース出場のライダー、前田淳さんが死去
読売新聞さま)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジか。



前田氏のご冥福を申し上げる。本当に残念でならない。



話によると、エンジントラブルでスローダウンしたところに後続車が突っ込み、大腿部と骨盤骨折。一時容態は安定したが、感染症により容態が悪化、帰らぬ人となったとのこと。

今の自分を鑑みると、とても他人事だと思えない。本当に無念だ。



マン島TTレースと言えば世界一危険な公道レースという答えが返ってきそうだ。
そしてジョイ・ダンロップの名も自然と浮かぶ。
ジョイ・ダンロップはマン島レースで輝かしい成果を上げたのだが、サーキット上で事故に遭い、帰らぬ人となった。

前田氏とはシチュエーションは違うが、マン島レースには悪魔がいると言う事だろうか・・・



世界一危険な公道レース、Manx TTに出場するだけでも、賞賛に値するだろう。
前田淳の名は決して忘れない。

またまた薬事法改正2006年06月09日 18時56分59秒

薬事法改正が衆院本会議で可決・成立
薬事日報さまからのtbです。

薬事法の改正と言うと、去年(平成17年4月)にやったばっかりのような気もしますが、あれは施行でしたね。
今回の改正案が公布され、3年後に施行。まだ先のようできっともうすぐに感じるのでしょうね・・・前回と同様に。



気になる改正案の中身ですが、第164会通常国会閣法67号本文をちらっと読んでみました。
気になるところだけピックアップ。
間違ってる可能性大ですので、決して鵜呑みにしないで、深く調べたい方は1次資料とにらめっこしてください。

医薬部外品の定義文の変更(第2条)
びみょーに変わってます。法律の専門家じゃないのでどう影響するかは予測できませんが・・・

薬局開設の許可基準に関する条文の変更(第5条)
ハード面ではきっちり規定されていたのですが、ソフト面の書き方がより幅広くなり、ソフトハード両面において規定されたような気がします。具体的には管理薬剤師員数という書き方は廃し、「~業務の体制」が「基準に適合する」という書き方です。

薬剤を販売する場合における情報提供条文の追加(第9条)
んー、服薬指導はふつーにやってるんですけどねぇ。でもあれって薬剤師法で薬剤師の義務とあったような・・・
薬事法改正案では薬局開設者に対する情報提供義務が盛り込まれたようですが・・・なかったっけか。

医薬品販売業の許可の種類条文変更(第25条)
それまで販売業は分けますよ(一般とか薬種とか)というだけだったのですが、「店舗販売業」「配置販売業」「卸売販売業」の3つに。
あれ・・・薬種と特例が消えた。廃止っすか?
今現在で薬種商許可がある人は、そのまま店舗販売業の許可になるそうです。良かったですね。でも3年間で薬剤師を探し出して配置せい、って事になるでしょう。

一般用医薬品の区分の変更(第36条の3)
一般用医薬品をさらに第1類~3類に区分してます。医療用医薬品は変わらずかな?
でも、一般用医薬品第一類規定は、
「その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして」
とあるのですが、そこまで言うなら医療用医薬品の方が・・・と思いますが。。。

薬物乱用防止が目的として明文化(第1条)
条文が前後してすいません。改正案の流れに沿っているので文句はそちらにw
薬事法の目的として「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行う」事と「医薬品、医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずる」事がありましたが、これに加えて「指定薬物の規制に関する措置を講ずる」事が明文化されるようです。
薬物乱用の実態を鑑みた結果ですね。今まで無かったか。

最後に改正案の目的があります。
「(略)一般用医薬品をその副作用等により健康被害が生ずるおそれの程度に応じて区分し、当該区分ごとの販売方法を定める等、医薬品の販売制度を見直し、医薬品の販売に関する各種規定の整備を図るとともに、いわゆる脱法ドラッグの製造、輸入、販売等を禁止する等の所要の改正を行う必要がある。(略)」
だそうな。まあ日本の実情を見れば当然の改正だと思います。

ただ今回残念なのが、医薬品の承認に関して特に変更が無い事ですね。
まあ変更されたらされたで対応が忙しくなるのですが、海外の優れた医薬品をスムーズに承認される制度とか、そういうの。
あったっけ?



今回の改正案はもう法案として成立したので、逃げられませんw
来るべき3年後に向けてまた勉強ですっ!

薬学部の国試受験生はまた苦しむ事になるけど、頑張って!
薬事関係法規は足切りに気をつけろ!w

またまた薬事法改正 追記2006年06月10日 11時42分21秒

前回記事への追記。

合わせてこちらのニュースもご覧ください。ちょっと古いですが。

薬事法改正案、大衆薬リスクをランク分け
読売新聞さま)

今回の薬事法改正案の目玉は、医薬品販売制度の大幅変更です。
前回ではあまり大きく取り上げなかったのですが、よくよく見ると考えていた以上に大きな変更で、影響も大きいですね。
特に一番割を食う薬種商業界からの反発が強いようです・・・当然ですが。

医薬品販売制度の変更点についての仔細はともかく、それに伴う一般用医薬品のランク分けが大きな目玉です。
例えば人体に対する影響が強い"ランクA"にはH2ブロッカーや発毛医薬品でおなじみのあれ、効き目の強い水虫薬など。
ランクBは解熱鎮痛薬や胃腸薬など、影響がそれほどでもないとされるもの。
ランクCはビタミン剤とか化粧品然とした外用薬など、低リスクとされるもの。

このランクによって患者(消費者)への説明義務のレベルや薬剤師配置の有無が分けられます。
ちなみにランクCでも薬剤師或いは登録販売者の資格者の設置が義務付けられます。

このランク分け、むやみに妄信してはいけない気がします。
ランク低いからバカスカ飲んでも大丈夫だよね?的な事は言えません。
胃潰瘍持ちの人がアスピリン製剤(ランクB)を飲めば、胃出血から貧血になり、それを長期間続ければ胃穿孔もしかねない。
体にいいカルシウムの錠剤(ランクC)だって、アホみたいに飲めば下痢はするし結石リスクをいたずらに増加させたりするのでは?

ドラッグストアなどで簡単に薬が買える時代です。
だからこそ、患者の責任というものを今一度確認する必要がありますね。
医薬品情報は知ろうと思えば簡単に出来ますから、知らなかったじゃ済まされないんです、もう。

自分の身は自分で守らなければ。