煙草の煙が目に染みて2006年07月27日 18時31分14秒

ダイオキシン類似物質、たばこの煙に“たっぷり”
(by 読売新聞さま)

煙草の煙にはダイオキシンが基準値の数百倍ありますよ、というニュースです。
こういうニュースが流れるたびにニコ厨が喚きだすのが定番で、ある意味微笑ましくもありますが。



煙草については こちらの記事 で少し触れていますが、私の見解は変わりません。
簡潔に言えば、自分で吸って病気になるのは勝手だけど他人巻き込んじゃダメ、です。
ニコ厨の方々から言わせれば、煙草にはメリットがあり非喫煙者はそのメリットを無視してデメリットだけを特化して中傷している、のだそうですよ。
以前、「煙草は精神安定作用があるから仕事の能率が上がる」という主張を耳にした事があります。
その人個人で見ればそうなのかもしれませんけど、周りが迷惑して仕事の能率落ちるのが明白なので、あまり頭のいい意見ではありませんね。
更に言えば、喫煙時間はアイドルタイムなので、出来れば削減すべきだと思いますが。



話を戻しますと、煙草の煙にはダイオキシン及び類縁物質が相当量含まれている、という事です。

ダイオキシンは、ジオキサン或いはフランにベンゼン環が2個縮合した形とも言えますし、2個のベンゼン環を酸素原子で架橋した、とも言えます。さらに空いている箇所に塩素原子が付きます。
構造式はジオキサン様骨格の方です。

ダイオキシン構造

ダイオキシンといえば、発がん性物質の代表格のように扱われています。
その毒性については賛否両論ありますが、ダイオキシンが難分解性で蓄積性であることを考えると、やはり十分に気をつけなければならないでしょう。
余談ですが、現在化審法第1種特定化学物質の一つであるPCB(Polychlorobiphenyl)と言うものがあるのですが、これは油を非常によく溶かすと言う事で、昔の人はPCBで手を洗っていた(!)と言う話を聞いたことがあります。
今考えるととんでもない話ではありますが、そういう方々の全員がガンになっているわけではないので、ダイオキシン類についても過剰にナーバスになる必要はないのか?とも思います。もちろん気をつけなければならないのは当然なんですが。

ダイオキシンの毒性発現は、ニュースではこのように、

ダイオキシンは、細胞内の特殊なセンサー(受容体たんぱく質)に結合してそれを活性化させることで、がんや免疫異常などを引き起こす。同じ受容体を活性化させる力があれば、ダイオキシン以外の化学物質でも似た毒性を発揮する。
受容体を介した生体内カスケードの狂いががんに繋がる、と言うことです。
少し化学をやっていると、DNA2重らせんに直接作用して発がん作用を引き起こす、という予想をしたくなりがちですが、直接作用は認められず、タンパク結合したダイオキシンが核内でDNA発現などを変化させてしまうと言う事です。
専門じゃないので明るくはありませんが・・・



今回のような記事を読むと、煙草バッシングの為のプロパガンダであるとか、ダイオキシンが多くたってダイオキシンの毒性はたいしたこと無いとか、不毛な意見が多く出そうですね。
それを面白がってここぞとばかりに非難する非喫煙者も、度が過ぎるのは良くありませんが。

なんにせよ煙草の煙は有害である事が分かったので、極力出さない吸わない、これに尽きるでしょうね。
もっとも、煙草の煙を吸わされる側の精神的苦痛の方が余程体に悪いのではないかと思ったりもしますが。

ニコ厨の方々も、吸わせてもらえるだけ有難いと言う感謝の気持ちを忘れないで頂きたいものです。

日本はまだ甘いですよ。
これからです。