三宅島TT、開催の危機か2007年02月21日 22時24分03秒

東京都では、マン島TTに倣って 三宅島で公道レースを開催しようとしている事は周知の事実ですが。
HONDAの宮城氏などプロライダーが、待ったをかけているそうな。

慎太郎にダメ出し…三宅島公道でオートバイレース構想
(by ZAKZAKさま)

宮城氏は、都とともに大会を主催する日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)から「どうすれば公道レースができるか?」という依頼を受け、昨年7月から三宅島を4回訪問、予定コースの外周道路(30キロ)などを視察・試走した。  その結果、(1)幅員が6-7メートルと狭く道路沿いに家屋や石垣などがある。クラッシュパッド(緩衝材)などで対策しても安全性は不十分(2)都内の総合病院まで最短40分かかり、救急設備も不十分(3)車両の安全地帯がなく、事故の場合は2次災害が懸念される-などと判断。 「絶対に公道レースはやってはいけない」と結論づけ、「小さくてもいいからサーキットを作るべきだ」と提案した。
まあ、ごもっとも。
そもそも公道でレースしようってんだから、危険じゃない訳が無いと思いますよ。
サーキットだって充分危険なんだし。
マン島でのレースが安全かというと、全然そんな事は無いでしょうね。過去にも安全対策を巡っていろいろな意見が交わされたけど、マン島レースの伝統を守る事を最優先し、昔ながらの方法でやってます。
だから時々死者も出ております。それを批判する気はありませんが。それが怖いならレースに出なきゃいいだけだし、誰もそれを咎めはしない。
三宅島の方は伝統も何も無いのだから、わざわざマン島TTを踏襲する意味合いは薄いと思います。

ただ、公道レースを否定したくは無いので、宮城氏の報告した問題点を考えて見ますと・・・

(1)はマン島でも同じことが言えます。石垣は以外に厄介。アウト側で危険なのはもちろんの事、イン側でもクリッピングを攻めるあまり石垣に肩をぶつけてバランスを崩し、アウト側に突っ込んだクエイル選手の例もあります。
(2)は・・・前田氏の事もあるし、万が一のときの医療体制は必要以上に整備されなければならないでしょう。そうなると諸島部というのはかなり厄介です。
(3)も、面積が限られている島ではどうにも。

ライダーの端くれとして言わせてもらえれば、公道レースはエキサイティングで面白いと思います、が、島でやる意味は無いです。
やるんだったら本州。そうすれば観戦にもバイクなどで行けます。
純粋にレースとしてみた場合は、その方がまだ可能性があります。
本末転倒なのは分かっていますが、ライダーを危険に晒してまで三宅島の観光をプッシュする意味がどこにあるのか理解できません。
今年の11月の開催を予定しているそうですが、本当に出来るのかどうか。何事も無く終わるのかどうか、不安ですね。

三宅島にサーキットを造るというのも、これまた極論です。そんな金がどこにあるかと。
モタードレースみたいに小規模で出来るものならば、とも思いますが、それもまた違うと思いますし。
いっそのことレースはやめて、マッドサンデーみたいに大規模ツーリングにしてしまえば・・・いや無理ですね。残念ながら、そこまでライダーの意識も高くないし。

何もかもが時期尚早だと思います。


レースは危険なものだからこそ、万全な準備が必要だと言う宮城氏の言葉には重みがあります。
現場の人間が一番分かっているのですから、東京都も真摯な対応をして欲しいものです。

これに対し、都は「公道を使い、安全性を確保できるレースを検討中」といい、MFJの神谷忠ロードレース副委員長も「スピードを競うのでなく、安全に配慮したレースにすれば問題ない」と語り、オートバイメーカーに協力を要請したが、反応は厳しい。 (強調は筆者)
それはレースとして成り立つのか?

空気と窒素は良くも悪くも別物です2007年02月15日 09時53分25秒

タイヤに窒素を入れる事が流行って久しく、すっかり市民権を得て当たり前のことになったのか、取り立てて窒素が騒がれることも無くなりました。
今回はそんなタイヤの充填ガスと圧について所感を。

タイヤについての豆知識パート4 窒素ガス あなたの街のタイヤ屋さんさま)へのtb。

一般に言われている「窒素の効果」というものは様々な宣伝文句とともに広く言われていますが、共通する主なポイントは「水分」「透過性」「酸素」「圧縮特性」じゃないでしょうか。

水分は、充填ガス中の水分量の話ですが、微量水分の混入が、タイヤ温度変化に鋭敏に反応し、内圧が上下しやすいとのこと。
ただし水分の有無は窒素の特性ではなく、ガスの水分をきちんと管理しているかどうかの話です。
窒素はボンベからほぼ直接充填してます。ボンベの窒素ガスはまともなものなら品質管理は充分なされているでしょうから、ゼロではないにしても水分量が管理されているので安心できます。
コンプレッサーの水抜きについては考えが至りませんでした。今度から気をつけよう・・・

透過性。窒素は抜けにくい、と言われています。これについては原理がいまいち分かりません。
空気の8割は窒素。残りは酸素、二酸化炭素、アルゴンがメインです。
ビードから漏れるわけではなく、タイヤのゴム分子中を抜けると言うからには、窒素よりも小さい分子だと思うのですが・・・どれ?

酸素は空気中に無いと困るものですが、酸化の原因でもあります。
この酸素がタイヤの劣化やホイールの腐食になるということですが、これは水分とセットになったときに、という話だと思います。
でも、外側についてはタイヤもホイールも酸素に触れていますから、どこまで腐食を抑えられるのかが気になります。
実験データがあればよいのですが・・・

圧縮特性。窒素にすると内圧変化が少なく、乗り心地が変わるとの事。
後述しますが、これは実際に体感できました。



なんだか窒素はいいことだらけでデメリットは無いのかと考えてしまいますが、明確なデメリットは無いですね。
強いて言えばお金がかかること、自分じゃガス圧管理が難しいこと(器具が無いので)。

別の点からの問題は指摘されているようですが。
圧変化が少ないからついつい圧チェックを怠ってしまう・・・というのはまた別次元の話です。変化があろうがなかろうが、チェックは定期的にするのが当たり前です。
せめて月1回とか定期的にチェックする事を考えて、"いつもの店"を決めておくと良いでしょう。



さて、いい事尽くめの窒素ですが。

私は窒素充填が嫌いです。
バイクでは。

確かにメリットは多いのですが、走行特性が劇的に変わるからです。
これはメリットとして語られることも多いのですが、乗り心地がしっとりと上品になることです。
確かにロードノイズは減り、突き上げも低減して乗り心地は良くなります。
しかし逆に言えば、 路面からのフィードバックが希薄になると感じました。
タイヤがどう路面と接しているのかがいまいち分かりにくかったです。
あくまで私の感想で、人によって感じ方は様々でしょうが・・・

4輪ならば路面情報はある程度目を瞑れますが、2輪だと切実です。
リヤタイヤが路面を噛んでいる気がしませんでした。
ただし、4輪だったら窒素のメリットは相当享受できると思います。
ロードノイズが減ればオーディオの音も良く聞こえるだろうし、いいことの方が多いでしょう。
ライダーの体の動かし方で乗り味はどうとでもなる2輪に関しては、窒素の上品さよりも路面情報の確実性のほうが優先されるべきだと思います。
まあ窒素でも慣れればいいのでしょうが、そこまでお金をかけるのも・・・

ただ水分が少ないと言うのは大きなメリットである事は間違いないので、乾燥空気が私の理想です。
フットポンプの先に塩化カルシウム管をつけるとか、水分除去が出来れば・・・
ガスクロマトグラフ用純空気、とか途方も無い贅沢はしませんけどw

決して窒素を否定する気はありません。
が、良くも悪くも走行特性は劇的に変化する事だけは念頭に置いたほうが良いと思います。



窒素をタイヤに入れると言う発想は、当時は衝撃的に思えました。
空気圧は気にしても、そのガス自体を変えてしまおうと言うのには頭が回らなかったです。

この考えをもう少し拡張し、最適な充填ガスは何か?を研究するのも面白そうです。
窒素がこんなにも流行ったのは、大して高くない事もそうですが、空気と分子量があんまり変わらないからじゃないかと。
タイヤに充填された分のガスは当然重さがありますから、それが高速回転したときのモーメント、まあ実用上意味が無いかもしれませんが、気になります。
もしかしたら、ヘリウムみたいな軽いガスを使ったときと、ラドンみたいに重いガスを使ったときでは、走行特性が変わるかもしれません。
放射能持ちだから絶対使えませんが>ラドン

ちょっとした思い付きの範疇を出ませんが、そのぐらいタイヤ内のガスは重要だと言う事でしょう。

世界一危険な公道レース、のDVD観賞2007年01月20日 00時04分53秒

マン島TTのDVDを買ってみました。
さんざん話題にした割には、きちんと観たことが無かったのでw
購入したのは2002年のマン島TTレースのDVD。
この年は デイビッド・ジェフェリス 2002年に3冠を達成した彼だったが、2003年の予選でクラッシュし、この世を去った。 というレーサーが大活躍でした。

マン島はイギリスとアイルランドに挟まれた、リバプールに近いところにある小さな島で、1周約60kmのコースを設定します。
コースといってもサーキットのようなクローズドコースなワケが無く、交通封鎖しただけですね、ほとんど。
エスケープゾーンなんてまず無いし、公道そのまんまだから路面は荒れてるわ水たまりはあるわ。DVDの映像の中で、1度だけ ネコ WGPではホッケンハイムで鹿にぶつかった人もいたケド。。。 がコースに飛び出しているのが見えたりします。
そして、そんな対向車と歩行者がいないだけの約60kmのコースを、ライダーは大体18分ちょっとで周回します。
平均時速に直すと200km/h程度。公道で。
それも、公道なので縁石とかもふつーにあるし、ライダーはそのスレスレの所を猛スピードで通過。観客も結構近いところで観てます。
ライダーだけじゃなく観客も危険な気がします。

DVDでは時折オンボードカメラの映像になりますが、

ちょwwww危なwwwww逃げてwwwwwww

と思っちゃうぐらいのとんでもない世界でした。
このレースに出られる人はどっか壊れてるんじゃないかと不安になるぐらいです。
サーキットのレースが霞んで見えてしまうぐらいの衝撃でした。

このDVD観たら、安全運転しようと本当に思いますw

左右のコーナーリングの差2007年01月10日 22時30分26秒

バイクも4輪も、必ず右か左かに曲がります。
教習所を出たならば、どっちも出来て当たり前です。
では、

右と左、どっちに曲がる方が得意ですか?

と聞かれたら、どう答えるでしょうか?



まずバイクの場合ですが、これは不思議なもので、多くの人が「」と答えるのではないでしょうか?
私も明らかに左です。左の方がスムーズに、気分よく曲がれます。

このコーナーリングの左右差はなんで生まれるのか。

バイクの操作系を考えると。
スロットル、フロントブレーキ、リアブレーキは右。
クラッチ、ギアペダルは左。
ほとんどのバイクはこうなってます(逆シフトとかもありますが)。

バイクの構造を考えると。あんまり左右差はありません。 クランクケースは左にあって多少重たいかもしれませんが、普段バイクが真っ直ぐ走っているので、左右どちらかへの切り返しの差というものはあまり無いように思われます。
モトグッツィの縦置きVツインエンジンは、スロットルを煽ると右側に倒れようとするとか何とか聞いた事があります。まあ特殊例だと思いますが。

こう考えると、どうやらライダー自身の左右差が原因のようです。

まず、利き手。
日本人の多くは右利き。利き手の右手でスロットルとブレーキという微妙な操作が行えるように、でしょうか。
クラッチも微妙な操作ですが。
しかし、右利きなら右に曲がるのが得意であっても良さそうな気もしますが。

これは、「ライディングと、人間の自然な動き」の関係を考えると解りやすい。

コーナーリングにおいて重要とされるのが「 セルフステア バイクが傾いた時、ステアが傾いた方向に自然に切れる現象。
この切れ方はバイクの一つで、ステアリングトルクとアライメントトルク(ステアが元の位置に戻ろうとする力)の合力により決まる。
」ですが、コーナーリング開始のきっかけとして重要なのが「 逆操舵 曲がる方向と逆方向にステアを切ると、曲がる方向へとバイクが傾く現象がある。
これを利用し、コーナーリングのきっかけを作るテクニックの事を言う。
重量のあるバイクでも、このテクニックで容易にバンクさせることが出来る。
しかしステアをこじると言う行為はバイクの挙動を乱すため、少なくともバンク中に行なうのは望ましくない。
」です。
右コーナーの場合、顔は右を向きますが、その時無意識に右肩がわずかに前に出ます
肩が前に出ると腕も前に出て、ステアを押している、という事になります。
この時のフォームは、
右コーナーに対して右半身で構えている
という事です。
これはバイクに乗っているときを想像すると、ああそうかも、と思うでしょう。
右コーナーに対して左肩を前に出す事は、意識しなければ無いと思います。

この「構え」こそがコーナーリング左右差の原因の一つです。
ボクシングのように構えてみてください。
どっちの足が前に出ていますか?
右利きなら、ほとんどの人は左足が前に出ます。つまり左半身の構えです。
自然にこうなると言う事は、そっちの構えが得意、自然に出来るということです。
つまり、左半身の構え=左コーナーが得意という事です。

ただし、あくまでこれは原因の一つ。他にも要因は色々あると思います。
そもそもサウスポーの人はどうだか解らんし。

バイクジャーナリストの和歌山氏は、もう10年以上前の著書において、コーナーリング時の遠心力と脳における血液の偏りから考察されています。 ライディングは右脳運動であるので、右脳に血液が集まる左コーナーの方が上手く出来る、というものである。
実際に実験をしているわけではないが、なかなか興味深い仮説である。
逆に、試験勉強とか左脳を使うときには左を下にして血液を集中させるとよい、とか?

私が考えているのは、日本の道路事情も原因の一つではないか、という事です。
日本は左側通行です。
左コーナーだと道路の路肩方向に曲がっていくので、特に障害物も無く精神的にも不安無くいけます。
しかし右コーナーの場合、センターラインに向かって曲がる事になるので、対向車のはみ出しなどのプレッシャーを背負う事になり、その恐怖心が先立って上手く乗れないのではないかと。

もっとも、この意見も微妙です。
対向車線など存在しない、サーキットを走った事がありますが、そこでも右コーナーは苦手でした。
そしてサーキットの多くは右回り・・・(ToT)
別の考え方として、右コーナーはセンターラインと距離をおかないといけないため、中途半端な曲率で曲がる事を強要される、というのもあります。
こういった考え方に起因する左右差は、熟練によって解消していくものなので、根源的な原因では無さそうですが。

事実としてあるコーナーリングの得手不得手ですが、その原因となるとはっきりとした原因はまだ特定できないようです。
まあ、いろいろな要因が関係しているのだと思います。
この辺を研究していくと、安全対策に大きな一歩が期待できるのでは?



では、4輪はどうでしょう?
バイクよりも明らかに人口が多い4輪ですが、ドライバーの皆様はどうでしょうか?

私は、得手不得手というより、右コーナーが嫌いです。
これはもう理由がはっきりしています。
4輪の場合においてもコーナーの方向に首を向けると思いますが、その時に何が見えるでしょう。

私はドアピラーが邪魔でしょうがありません。

これは理屈を捏ねる以前の問題です。
ドアピラーの死角については同じように危機意識を持っておられる方が多いです。
これは是非とも何とかしてもらわないと。

4輪の場合、たぶんコーナーリングの得手不得手というのは、バイクに比べれば微々たる物です。
ハンドル切れば誰だって車を曲げる事が出来ますから。
体全体を使って曲げなければならないバイクと違い、簡単です。
自分で運転していて若干の左右差は感じますが、得手不得手というレベルではないです。
むしろピラーで視覚を遮られてしまう事の方が気になります。



多分、何を今さら、というレベルの事についていろいろと考えて見ました。
当たり前のことですが、しかしこういった事を改めて考えると、新しい発見があることも多いです。

自分の運転を見直す意味でも、こうした思考実験(?)をするのも良いかと思います。