「足利一茶庵」2010年10月23日 18時08分02秒

当blogも薬剤師blogでありながら、数々の蕎麦屋を紹介して参りました。
その過程で、私自身も蕎麦について少しは知り、成長することが出来たのかなと思っています。
そんな蕎麦喰いの駆け出しの私ですが、どうしても行きたい、いや避けては通れない場所があります。
それは私に限らず、全ての蕎麦喰いが避けることが出来ない、そんなお店です。

前回より下野国酔夢譚と称して記事を書かせていただいているので、もうお気づきの方も多かろうと思います。
今回訪れたのが、日本の蕎麦史を作り上げたと言っても過言ではないお店。
足利一茶庵」さんです。

蕎麦喰いにはもはや説明不要ですが、足利一茶庵というお店は、片倉康雄氏が開かれたお店です。
片倉康雄氏とは、日本の蕎麦史を語る上では欠く事が出来ない蕎聖です。友蕎子とも呼ばれています。
その教えを乞うた方も多く、その方の弟子もまたあり、その系譜がお店で紹介されています。
ここで詳細を述べることは避けますが、とにかく蕎麦を語る上では避けては通れず、蕎麦喰いならば一度は詣でたいお店が足利一茶庵さんなのです。

場所は足利市立けやき小学校の近くです。詳細はお店のHPに譲ります。
足利市が碁盤の目のような道になっているので、慣れないと迷子になるかもしれません。

お店の佇まいは、ともすれば料亭のような風格もありますが、親しみやすさも忘れていません。



懐の広い雰囲気があります。
入口から少し入るとようやく店内になります。このちょっとした時間が普通の蕎麦屋じゃないなと思わせます。
店内は暖色系の明かりで優しい感じがします。設えられた調度品などに品位を感じますね。また壁に一茶庵の系譜と片倉康雄氏の紹介文があります。ここでお勉強です。
席はテーブルに座敷に。奥があるので全体像は良く分かりません。
テーブル席からは中庭が見えます。小さいながらも日本庭園を意識したものとなっております。
確かに歴史も風格もあるお店ですが、排他的では決してありません。どちらかというとフレンドリーです。店員さんの着ている一茶庵Tシャツがちょっとほしいかも。

今回はもう手加減なしです。全身全霊を込めて蕎麦を感じます。
というわけで、五色天せいろ大盛り!(\2900)。





なんという風格。

つゆは醤油が前面に出た辛口ではあるものの、甘さもあり、ダシも強烈に効き、濃さも申し分ない。いや、好みの差はあるとはいえ、それを差し引いても隙が一切ない。口に含んだときの味の広がり方も、上下左右前後、口から喉からすべての部分につゆが行き渡って主張する。凄まじいつゆです。これほど強いものは他にありません。
全国の一茶庵を束ねる長。その重責を感じさせる味です。
蕎麦は五色。二八、田舎、更級、けし切り、茶切り。味も香りも高くコシも強い。喉越しも計算されており、全てにおいて妥協がない。計算しつくされているので、粗野な部分は鳴りを潜めているので、そういうのが好きな人には物足りなさを感じるかもしれない。
更科はその風味に驚かされた。蕎麦とはこんなにも甘味があるものなのかと、新たな知見を得た。
天ぷらも全てにおいて隙がない。
もうこれ以上野暮な言葉を並べるのは憚られる。
ただ一つ。必ず食べに行け。それだけは言っておこう。

蕎麦を食べ始めてようやくこの足利一茶庵を訪れることが出来たのは、何と幸いなことか。
何がしかの形で蕎麦を語るのであれば、ここのお店を避けては通れません。
断っておきますが、ここの蕎麦が最上であるとは言いません。そのときの蕎麦の仕入れ状況、好みの問題などが介在します。事実、本当は同じ一茶庵の系列の、九段一茶庵の方が蕎麦は好みです。
しかしながら、数多くの名店を輩出してきた歴史を感じることは、決して無駄ではありません。
まずは詣でること。そこからです。

ちなみに、友蕎子の縁の品々が展示されている「友蕎庵」というものがあるそうですが、休日は混むからNGとのこと。残念です・・・
今度こそ。

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