自転車はどこを"走れば"いいのかな2007年05月12日 09時01分28秒

自転車の取り締まりが強化されたそうで。
走行場所については、原則「車道の端」となりましたね。相当対歩行者事故があったのでしょう。
他にも片手運転、夜間無灯火、二人乗り、あとは他の車両に準じて飲酒や信号無視などが取り締まり強化の内容だそうです。
一時停止は案外盲点のような気がします。停まっている人はほとんど見ないですね・・・
まあ、概ねは昔から言われている事なので、素直に従いましょうとは思うのですが。
走行場所については、自転車だけが気をつければいい問題、ではないと思います。

自転車は車道を走るもの(車両だから?)です。
が、車道が自転車を走らせる状態じゃないと思います
路肩が広くない場所はそもそも危険ですが、路上駐車があるとそれを避けようとして車道側に大きくはみ出して接触、なんて懸念が当然あります。
歩行者を守るための施策が、対自動車事故を増やしてしまうのではないかと不安です。
これは道路事情の構造的な対策が必要です。
現状ではそうも言ってられないので、車道を走らざるを得ないですが、もし危険だと感じたら、自転車を降りて歩道を押して歩くのが、一番安全だと思います。
自転車は車道を走るものだ、という規則に誰もが対応できていない気がします。

自転車は立場が宙ぶらりんなので対応が難しいのですが、一番安全な選択肢を選んでいくようにお願いしたいですね。



さて自転車というと、最近新たなカテゴリが話題になりました。
ピスト
ピストレーサー、トラックレーサーともいうそうですが、競技用自転車のことだそうです。

お高い自転車も数多く見受けられるようになりましたが、ピストはトラック仕様、細身のフレームに細いタイヤ、ドロップハンドルなど。競輪選手が乗るようなものですね。BMX的なものとはまた違う、お高い自転車です。
そんなピストですが、一部には保安部品を全部取っ払って乗るスタイルがあり、某社が宣伝広告を打ったりして、いろんな意味で有名になりました。

保安部品、ブレーキ、灯火などを付けずに自転車に乗るのは道交法違反に該当するそうな。
しかしブレーキに関しては「停まれるから問題ない」といった主張もありました。

まず、「ブレーキが無くても停まれるのか?」と言う点ですが、これはピストの駆動方式が固定ギアであることがポイントですね。
ペダルと ドライブスプロケット 前側の歯車 、チェーン、 ドリブンスプロケット 後側の歯車。後輪に直付け。 。これらの動作が完全にリジッドであるということです。
普通の自転車は、ペダルを逆側にこげば空転しますが、ピストは自転車が後ろに進みます。
つまり、ペダルを思い切り踏み込んで回転を止めれば、タイヤも同時に止まる、ということです。

しかしこの方法には制動力に不安が残ります。
ブレーキを掛けて制動する際の路面との接点はタイヤです。タイヤは当然二つあります。
ピストの「後輪のみでブレーキング」というのは下図にようになります。



普通の自転車で前後輪ブレーキを掛けたとき。


Illustrated by Chem Draw Pro 4.5


とまあ、トータルの制動力でどちらがいいかは一目瞭然です。
さらに言えばブレーキングにおいてはノーズダイブがあるので、当然ながら前輪の方が"効きます"。後輪はブレーキングでは荷重が抜けやすいので制動力はあまり期待できません。
某所でピストのブレーキングというのを見ましたが、ペダルを完全に止めて後輪ロックさせながら流れていきました。
ペダルロックという方法もそうですが、面圧が低くなりがちな後輪でのグリップはあまり期待できず、簡単にロックしてしまう。
ペダルを介したブレーキングは、その効力は甚だ疑問です。

さらに言えば、ブレーキは制動、停止だけが目的ではなく速度調整も重要ですが、高速で回転しているペダルをコントロールするのは相当の足の力が必要です。
が、普通の人間にそれができるのかと言うと、これまた疑問ですね。

そして何より。
何故ブレーキを前後に付けているのか、と言う事です。
これは前後輪のバランスもさることながら、どちらかが壊れたときのフェイルセーフの意味合いが強いものです。
片方でも生きていれば、何とか停まれます。
普通の自転車はペダルの逆こぎは空転するので、ペダリングではブレーキングできませんので前後ブレーキは必要です。
ピストの場合後輪はあまりスマートではないとはいえまだコントロールできないことも無いので、せめて前輪にはブレーキを付けて欲しいです。
万が一チェーンが外れたらどうしましょうか?
スタイル上での話だったら、かっこいいブレーキがあればよいのかと思いますが、どうもそういうことではないらしく・・・
私なんかはバイク乗りですので、ブレーキもスタイルの一つだって認識があるのですが・・・違うようですね。


断っておきますが、「ピスト=ノーブレーキ」ではありません
一部の人がそう主張しているだけで、ブレーキを付けよう!と訴えている人もいます。
さらにいうと、ピストは必ずしも固定ギアじゃなくてもいいそうです。そこまで縛りは無いみたいですね。
そもそもピストはトラックを走るためのもので、公道走行をするならばそれなりのカスタマイズがあって然るべきだと思います。

かっこいい自転車が増えるのはいい事だと思うので、決して安全面をおろそかにすることなく楽しんでもらいたいものです。