使えるものはとことん使えるようにしたいけど2007年05月01日 09時34分09秒

讃岐うどんに環境問題の逆風、ゆで汁大量排水で規制検討
(by 産経新聞さま)

しかし、ブームの副産物として「排水問題」が浮上した。うどんを直にゆでた汁は原料のでんぷんなどを多く含む。水質汚染を示す化学的酸素要求量(COD)では、うどん店の排水は平均で1リットルあたり1000ミリグラム。一般家庭の排水の約10倍の濃度で他の飲食店と比べても倍近くある。
なんと。恥ずかしながらこれには考えが至りませんでした。
確かにうどんの茹で汁って白く濁っているし、相当量のでんぷんが含まれていますね。それでも食物由来だから、と思ってしまいましたが、塵も積もればなんとやら。水質汚染にまで発展するとは。
これはうどんだけじゃなく、蕎麦やスパゲッティ、ラーメン。はたまた米のとぎ汁なんかもそうですよね・・・

話はそれますが蕎麦は蕎麦湯って形で飲んだりしますけど、他の麺類はそういう事はしないのかな。聞いた事がありません。(茹で汁を調理に使う事はあるけど、直接飲むというのは・・・)
もっとも茹で汁を飲んだからといって焼け石に水ではありますが。

富栄養化が思わぬところから問題になりました。
寄与は殆どゼロかもしれませんが、家庭での茹で汁もちょっと考えてしまいますね。土に還せば多少は影響も少なくなりそうですが、100%とは言えないでしょうし。
でんぷん質を凝集沈殿させてろ過、という手も考えられますが、手間も金もかかるし沈殿剤の環境負荷の方が大きくなりそう・・・
処理装置導入にしても、小規模店に設備投資する余裕があるとは限らないですし・・・いっそ地下タンクに貯めてバキュームカーで回収するシステムとか、各店での処理も重要ですが、一まとめにする方向も出来るかな。まとまった茹で汁があれば効率の良い利用が出来るかもしれません。

これは何も香川県だけの問題じゃないですね。香川県の取り組みを見守って他県にも導入出来るようにして欲しいです。

夢物語を言えば、茹で汁のでんぷん質の分離・発酵からバイオエタノールが出来ればいいのですが。
蕎麦湯やうどんの茹で汁で走る車。出前のカブがこれで走ればなんと効率が良い事かw

放射性医薬品によるがん性疼痛緩和2007年05月01日 11時21分17秒

【医薬品第二部会】β線で癌の疼痛を緩和‐新しい放射性医薬品を了承 薬事日報さま)へtb。

放射性医薬品による骨がんの疼痛緩和です。

がんはある程度経過すると浸潤や転移します。転移は主に血液やリンパ液を介して行われますが、血流に乗って骨にもがんは転移します。骨転移です。
原発巣が肺、前立腺、乳房の場合には、特に骨転移しやすいそうです。

骨は骨吸収と骨形成を絶えず行い再構築(リモデリング)によってその形態を維持しています。今ある自分の骨は、壊すのと造るのがバランスしているから維持されているという事ですね。このバランスが崩れると骨粗しょう症などになります。
骨の維持に欠かせないのは、もちろんカルシウム。私も毎日錠剤飲んでます。なかなかくっつかないけど。
そのほかリン、VitaminDなど様々な栄養素が必要です。

骨転移したがんは、骨の神経に存在する痛覚受容器を刺激したり、大きくなったがんが神経そのものや血管を圧迫したり、またがんに対抗するための免疫応答により、さまざまな発痛物質が遊離したりして、疼痛となるそうです。

そこで登場するのが放射性医薬品。塩化ストロンチウム(89SrCl2)。
ストロンチウムはカルシウムと同じ第二族元素・アルカリ土類金属。カルシウムに似た挙動を示すという事で、静注などで投与すると、骨に集積する性質があります。

ストロンチウムの安定同位体は、原子量88ですが、それより一つ多い89Srはβ崩壊によりベータ粒子(=電子)を放出し、自身は89Y(イットリウム)となります。

89Sr → 89Y + e- (+反ニュートリノ)

この電子線によって、がん細胞を照射死滅させる事が疼痛効果の発現だと考えられている模様。詳細は確定していないそうです。
同時に、転移部位には免疫応答によってリンパ球が集まりますが、これも障害を受ける事で、発痛物質の遊離を阻害する事も作用機序の一つと考えられているそうです。
疼痛緩和というとモルヒネなどのオピオイド系麻薬性鎮痛薬が頭に浮かびますが、これらとは一線を画した作用機序ですね。
その本質は抗がん作用による体積減少と言えそうで、純然たる鎮痛薬、とも少々違いそうです。

モルヒネでコントロール出来ない疼痛にも奏効するということで、期待できますね。
反面、疑問もあります。
電子照射がそもそもの作用機序と思われますが、同時にDNA損傷も起こしているでしょう。そのバランスは大丈夫なのか不安です。
骨転移部は代謝が促進されているので、ストロンチウムは優先的にがん細胞が存在する部位に集積するとは思いますが、通常の部位にも分布はしています。
そもそも抗がん剤の類は"諸刃の剣"ですので、十分な注意が必要です。まして放射性医薬品ですから、なおのこと神経質になってしまいますね。
注射剤なので患者さんがご自分で服用、という事はまだないとは思いますが・・・
また放射性医薬品という事で、患者さんへの服薬指導も入念且つ慎重になりそうです。
「核アレルギー」は確かに存在します。