糖尿病根治治療の可能性2006年10月25日 23時14分54秒

またも K2ネタ

糖尿病といえば生活習慣病としてあまりにも有名であり、羅患率の比較的高い疾病ですね。
インスリン依存型(Ⅰ型、IDDM)とインスリン非依存型(Ⅱ型、NIDDM)がありますが、どちらも対症療法として、インスリン注射や薬物による血糖コントロールしかありませんでした。
あくまで対症療法ですので、ときどきコントロール不能に陥り、低血糖発作で卒倒したりする危険もあるので、患者は常日頃から血糖値に気を配っていなければなりません。

しかしここ数年、「膵島移植」という方法が確立してきています。

膵臓においてインスリンを分泌するのは膵島(ランゲルハンス島)にあるβ細胞です。
脳死患者などからの提供膵臓を酵素分解して膵島のみを取り出し、レシピエントに点滴。そうすると膵島が肝臓に定着し、インスリン分泌をするようになる、という方法です。
各大学で既に数百例実施されており、経過も比較的良好だということです。
施術後のインスリン離脱率のグラフを見れば、5年後には約10%。確率的に見ると低いように思えますが、1年間で約60%もの離脱率があるのは大きな改善だと思います。それまでは毎日インスリン注射をしなければならなかったのですから。膵島の定着率だけ見ると5年でも80%を超えているところを見ると、定着した膵島の機能低下が懸念されますので、今後の課題といえましょう。

この方法はレシピエントにも負担が少なく優れた方法だと言えますが、膵臓ドナーの確保と言う根本的な問題が大きく立ちはだかります。
そもそも臓器移植自体が滅多に無く、法整備も不十分な日本においては、患者に対して十分なドナーを確保するのはほぼ不可能です。

そこで私が考えたのが、人工臓器です。

人工といっても機械的なものではなく、ドナーの(或いは正常な時の自分の)膵臓細胞を培養し、それを使う方法です。
基本的に、細胞一つ取ってきてもそれが臓器を形成することはほぼ不可能だとK2では言っています。その為細胞から完全な自分のクローンを作り出して臓器を摘出、というモラル的にもどーなのよ、という方法しかないそうな。
しかし。
細胞のみを培養して数を増やすことは可能で、培養した臓器細胞を用いた薬理試験や薬物動態試験が出来るとかなんとか(実際にそこまでやっているかどうかは分かりませんが)。
膵島移植のケースですと、膵島がある程度あればよく、どうせ酵素でバラバラにしてしまうので臓器の形は関係ありません。
ということは膵臓細胞を培養した後膵島を取り出して移植することが可能になればいいわけです。
この考え方なら、ドナーの負担は極限まで低減できるはずです。ちょこっと採取すれば良いだけですから、腹腔鏡でもいけそうです。
ま、夢物語の範囲を出ませんが、結構いけるような気もします。

不治の病といわれた糖尿病に根治治療の可能性が出てきたというのは素晴らしいです。
膵島移植は調べた限りではⅠ型への適用で、Ⅱ型は分かりませんが、可能性はあるでしょう。

まあ、一番大事なのは予防なので、出来るだけ普段から栄養バランスには気をつけたいものです。
(Ⅰ型の方は暴飲暴食が原因ではありません)