木と森と2006年09月27日 21時35分39秒

昨今の凶悪犯罪の増加とともに、死刑執行がニュースになることも多くなってきました。
死刑、それは、他の刑罰とは明らかに一線を画するもの。
全ての人が縁遠いことが望ましいのですが、そうも言ってられない状況。
考えなければいけない局面。

小林薫は死刑とかより懲役300年ぐらいにしておいた方が良いと思う。 国民宿舎はらぺこ 大浴場)からのtb。



死刑。
予備知識としてWikipediaなどで調べてみると良いかもしれません。ただ、内容が内容だけに、見たくない人は見ない方が良いでしょう。
画像はもちろんありませんが、結構怖くなる内容です。

まず、日本はもちろんのこと死刑という制度があります。アメリカ(一部の州除く)もそうだし、アジア諸国、アフリカの国々などでもあります。
ヨーロッパは基本的に死刑制度は廃止されたようです。
なお、中国は死刑執行数がとても多い国です(人口も多いですが)。台湾も多く、シンガポールは麻薬絡みで死刑執行があり、それでオーストラリアとの国際問題に発展しました。
まあ、この辺は深く触れません。

死刑執行の方法は様々ですが、日本は絞首刑です。
詳細は・・・ウィキ見てください。強いて挙げられるポイントは、窒息じゃなく頚椎損傷だという主張です。つまり、一撃で気を失うから苦しみはあまり無い、という人道的配慮、だという事です。
この「人道的」という言葉が、死刑の是非において重要なキーワードになります。



さて。
日本のおける死刑執行がニュースを騒がせています。
記憶に新しいのは宅間。次いでヤギ。一番新しいのがtb先記事にもある奈良女児誘拐殺人。これは永山基準に縛られない判決でした。
多いですね。
そして、死刑と言うと出てくるのが自称人権派弁護士で死刑反対の方々。
山口県光市母子殺害事件において、死刑反対派の安田弁護士が無罪を主張。
(それ自体は本人の主義だから言うのはタダですが、裁判フケたりするのは如何か)
裁判が高裁に差し戻されました。

山口県光市の例のように、そもそも死刑と言う制度自体に疑問を抱く人もいるわけですが・・・
共通するのが「死刑は非人道的である」という主張です。
個人的には、その意見もまあ分からなくも無いです。
現に死刑制度を廃止している国もあります。その代替刑として終身刑があります。
無期懲役」と「終身刑」の違いにご注意を。



死刑は非人道的であるのか。
人の命を奪うことはもちろん、良くないことです。
言うなれば、死刑は(戦時中でもなければ)合法的に人を殺す行為です。
それは単純に―――悲しいことです。

ではその代わりとして終身刑、二度と塀の外に出られない懲役刑はどうかというと、これも非人道的だと言う意見もあります。
その場合の最高刑は無期懲役になるのでしょうが・・・

死刑と終身刑のどちらが人道的かというのは、その受刑者によっても変わるでしょうね。死にたい人と死にたくない人がいるから。

ここから私の意見ですが。
死刑に限らず、罪を犯したものに対する刑罰の意味を考えなければなりません。
例えば軽微な犯罪などでは短期間の懲役や罰金刑になります。罪が重くなれば罰も重くなります。

その罰は―――何のためにあるのか。

これは犯罪を犯した人間に対するペナルティであると同時に更生の機会を与えることでもあります。

しかし、死刑及び終身刑は性格が異なります。
何故なら、その受刑者は二度と社会復帰することはありません
ヤな言い方すれば、生きて塀の外には出られません。
受刑者の更生を考えていません。別の言い方をすれば、死刑及び終身刑と言うのは受刑者のために行うものではない、という事です。

では何のために行うかと言えば、犯罪被害者の為のみならず、社会のためです。
それは一般予防論的(類似犯罪抑止)な効果もさることながら、社会的な不安の予防でもあると思います。
死刑を求刑される様な重犯罪者を社会復帰させれば、世間は必ず再犯に脅える事になります。
「あんなとんでもない犯罪者はまた犯罪を犯すだろう」という見方を必ずしますし、実際にそうなる可能性も高いでしょう。だからこそ死刑を求刑されているとも思いますが。

死刑相当の重犯罪者は、もはや社会に存在することを許されない、という社会の総意があるように思います。
口には出さずとも、ほとんどの人がそう思うのではないかと。
それを防ぐための、完全なる社会との隔絶、その為の死刑或いは終身刑だと思います。
そして、非常に悲しむべきことではありますが、それを否定する程の要件は浮かびません。

こういうテーマに「アポトーシス」なんて言葉を使うのは限りなくナンセンスではありますが、該当者の行く末だけは近いかもしれません。

ここまで言う事の前提として、警察の捜査が限りなく完璧に近く、限りなく高確率、100%に限りなく近く、その被疑者が犯人であることが求められます。警察に頑張ってもらうしかありません。
その要件を満たし、死刑が求刑され、法務大臣が赤鉛筆でサインをし、死刑が確定したら、

私は思います。


本来ならば斯様な形で人命が失われるのは悲しいことだ

だが、その罪は―――もはや絶対に許されない

だから

社会のために死んでくれ


―――と。



今回はかなり重たいテーマで、書くとだんだんブルーになってきます。
しかし、tb先のような刑罰の軽重の問題もあり、避けては通れません。といいつつ法の問題には触れてないけど・・・

死刑廃止は世界的にも論調が大きいものです。
日本の弁護士の意見も確かに分かります。
でもね。

死刑廃止を訴えるよりも死刑になるような重大犯罪をどうやって抑止するかと言うことの方が何万倍も重要 だと思うし、それを弁護士の口から言って欲しかったな。

がっかりだよ。