バイクのETC2006年04月05日 18時14分42秒

バイクETCの動きが活発になってきました。

ETCはもう説明する事もないほど世間一般に知れ渡ったのですが、その割には利用者が少なく、国交省の失策である事を否定できません。
最近はようやく利用者も増えはじめ、高速道路を利用すればETCレーンを通る車を必ず見かけるようになりました。

このような流れの中、バイクのETCというのは当初から検討されていたようには思いますが、その後の開発が遅れに遅れ、何年待っても正式運用に至りません。
「バイクでもETCを!」というライダーからの声と言うのは非常に強く、もちろん国交省も聞いてくれているとは思うのですが・・・



ETCはそもそも、料金所渋滞の緩和が主目的です。
料金所での支払いという動作は思いのほか時間を食います。
4輪の場合、停車して係員に通行券を渡し、その間に財布を出してお金を用意して渡し、お釣りがあればそれを受け取る。受け取ったら財布にしまい、財布をしまって発進、というプロセスがあります。


2輪の場合はどうでしょう。
停車してギアをニュートラルに入れ、通行券を係員に渡す。その間にグローブを外し、財布を取り出す。お金を係員に渡し、お釣りを受け取る。財布をしまい、グローブをつけてギアを入れ、発進。
4輪と比較すると、”ギア”、”グローブ”という4輪に無い動作をしなければなりません。

ギアをニュートラルにするというのは、4輪では造作も無い事のように思いますが、2輪では―――特に年式の古いバイクではなかなかNにならないのです。
(代替案として、ギアは変えずにキルスイッチでエンジンを切ってしまうという手もあります)

グローブもクセモノです。バイクのグローブは多機能である反面、着脱に時間が掛かります。スキーのグローブに比べると、裏地が滑りにくいのでなかなか外せないし、逆につけ辛い。
そして重要な事が、グローブつけたまま小銭を扱うのはほぼ無理ということですね。実際時間が掛かりすぎて出来ません。

またスタンドを立てていないバイクはぐらぐらして不安定で、小銭など細かいものを扱う際にバランスを崩してしまいがちで、まして小銭をこぼしたらバイクを降りなければいけない。

他にもジャケットから財布はなかなか出ないとかいろいろあるのですが、バイクで料金所を通過するのは面倒なんです。高速道路にライダーにとって、料金所というのが一番の難関です。


これの打開策として有効なのがハイウェイカード―――――でした。

現在は販売もなければ利用も出来ません。
このハイカ廃止というのはライダーにとってかなりの痛手でした。
個人的見解ですが、ハイカの割引はどうでもよく、その利便性こそが最大の利点です。
クレジットカードに比べてペラペラで扱いやすく、紛失時の煩わしさも無い。首都高でも使える。
取り立てて悪い点はないのです、偽造されたという以外は。

偽造は許されざる犯罪行為で、憎むべきは偽造なんかやらかした犯罪者でしょう。
しかし、ETCの普及が遅いからハイカを無理矢理に廃止したという批判を免れるものではありません。
対策もなしにいきなり断行すると言うのはあんまりです。



このように、バイクにとってはもはやETCを取り付ける道しかなくなってしまいました。
しかし、経緯はどうあれこれを機にバイクETCが現実のものとなるならば良しとしましょう。

しかし、バイクETCには問題山積です。
いや、そもそも4輪と同じ感覚で作られてはたまったもんじゃないのですわ。
バイクにETCを導入する際の問題点について、大きく2つ。

1.車載機

バイクは開放系なので、車載機が外乱を直接受けます(雨や風、飛んでくる小石や虫など)。それに対する十分な防水性や強度が要求され、それらを満足する車載機がなかなか出来ない。
またバイクは設置スペースがほとんど無いので、車載機の設置場所を確保するのが難しい。


2.開閉バー

ETCにおいて、利用者のETC端末の設定不備、通信異常、ETC本体の機械的故障などで、開閉バーが開かない可能性が否定できない。
そして万が一開かなかった際にも、基本的には利用者側の自己責任となる。


1については、今度の開発に応じて車載機の不都合も改善されるでしょう(過去NSRがカードキーを採用していた事もあるし)。
また、現行の4輪はETC利用が前提なので、新車の状態で既にETC通信機を装備しています。バイクについても、今後ETCの利用を前提とした開発が行われると期待します。

しかし2については、今すぐに対策しなければなりません。
理由はどうあれ、バーが開かなかったら即転倒します。4輪ならよほど脆いボディじゃなければ開閉バーを突破できるでしょう。しかしどんなに大きいバイクでも突破は難しそうです。
実際の利用スピードと想定される40km/hでぶつかったとしても、十分に大怪我をするスピードです。
そして転倒したところに後続の自動車が突っ込んでくる可能性が非常に高い。トラックだったら間違いなく死亡事故につながります。
もちろんライダーはそれを想定して十分に停まれるスピードで通過しようと考えますが、それは後続車両の追突と言う可能性を助長するのです。
正直なところ、何であんなバーなんかつけたのか理解に苦しみます。

どの車種にとっても意味の無い開閉バーは、取っちゃった方が良さそうです。
代わりに、ETC通過の際にエラーが発生した場合は、車体の後からナンバーを撮影し、後日清算すると言う方式なら、少なくとも死人が出ることはなさそうです。



バイクETCは今年中には正式運用されると言う事ですが、本当の意味での運用にはまだまだ時間が掛かりそうです。
少なくとも、安全が担保されるようなシステムであることを期待したいものですね・・・

コメント

_ 日影なす ― 2006年04月06日 08時08分23秒

そもそも、国交省はまじめにバイク用ETCを作る気あるのかね。
なんか、「言われたから、まぁやってみっか」て言うような気がする。。。
本気で取り組んでたらもっと開発進んで、終わっててもいいころだと思うんだがね(^^;

_ @DRK ― 2006年04月06日 09時20分39秒

取り組みはー、してない事はないのだけど。
経緯を考えると、「自動車と同じシステムでやりたかったんだけどいろいろ問題が出てきちゃって困ってるのよ~」という感じかな・・・多分。
真面目にやってない事もあるね。利用者数の見込みと開発費用を考えると採算が取れなさそう。

そもそも、バイク作ってないメーカーに端末作らせても埒があかないと思う。
・・・H○NDA大先生お願いします!

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